You are currently viewing タスク管理:中長期タスクの進め方

タスク管理:中長期タスクの進め方

 アンケートで案外人気が高かった中長期タスクの進め方。プロジェクトリードの仕方の話というよりも、ここでは「中長期タスクをいかにタスク管理に落とし込むか」にフォーカスして書きたいと思います。

 中長期のタスクを進行していて失敗する理由で良くあるのは

  1. ゴールが何でいつまでだったか分からなくなる
  2. タスクが思ったより多くて締切に間に合わなくなる
  3. 全体の締切が遠いため、余裕がある気がして目の前のタスクに手を付けられない

 の3つかなと思います。私がよくやりがちなのは3です。全体のタスクはトータルで二週間は最低かかるのに、一週間前くらいになって「あれこれもう終わってないといけないはずなのに終わってなくない?」って気づくパターンです。特に他のルーチンワークや割込の仕事に追われているとついつい締切が遅い方を後回しにしてしまって首が絞まるパターンです。

 これをタスク管理でできるだけ防ぎましょう。

ゴールを決める

 全体のゴールを決めます。どの状態が理想ですか? それはいつまでですか? ここでは試しに「社内セミナーを12月20日に開催する」をゴールにしましょう。今は11月1日です。営業日はざっと見て7週間、祝日なども加味すると作業が可能なのは30日ほどです。1ヶ月半もあとだし、今見えてるタスクは「セミナーの準備をする」「社内に告知をする」「部長に何やるかを報告する」くらいです。余裕ありそうですね。

タスクを分解する

 さてでは、ここでノートや手帳を用意し(コピー用紙や裏紙など、タスクが整理できる大きさの紙があればなんでもOKです)細かいタスクを書き出していきましょう。1つのタスクは最大でも1時間くらいのところまで分解するのが理想です。ここで先ほど思いついていた大きなタスクを時系列に並べましょう。

  1. 部長に報告する
  2. 社内に告知をする
  3. セミナーの準備をする

部長に報告するまでの隠れたタスクを洗い出す

 部長に報告するのはまあ30分もあれば済むでしょう。

 ですがまだ、社内セミナーの内容がぼんやりとしか決まっていません。部内のメンバーとのミーティングが必要です。ミーティング1回で決まるでしょうか? 2回は必要かもしれません。2回のミーティングはそれぞれ1時間としますが、2回で決めるためには事前準備が必要そうです。

 今回のセミナーテーマは「有効なタスク管理について」です。登壇者は決まっていませんが、この人に頼みたいな、という人は部内にいます。その人で良いのかをまず決めなくてはいけません。セミナーの内容としては60分くらいでお願いするつもりですが、その人が果たしてOKしてくれるか、NGだった場合に他の誰かに他のテーマで頼むかもミーティングで決めた方が良いでしょう。これはあらかじめ事前にメールで周知しておいてから、ミーティングで意見を聞く形にした方がスムーズに進みそうです。

 というわけで、部長に報告するまでにこれだけのタスクが書き出せました。

部長に報告する+セミナー内容を決める

  • セミナーテーマと登壇依頼についてまとめる(1時間)
  • 関係者がミーティング可能な日程を確認し、カレンダーで予定を確保する(10分)
  • 関係者にミーティング依頼と、まとめた内容のメールを送る(5分)
  • 第1回ミーティングで、依頼内容について齟齬がないか確認し、登壇者に次回ミーティングまでに発表内容をまとめてもらうように依頼する。もし登壇者NGだった場合は、他の誰がどのテーマで発表するかを決める(1時間)
  • 第2回ミーティングで、登壇者に発表内容を教えてもらい、部内メンバーで話し合い、修正点があれば修正する(1週間後に1時間)
  • まとまった内容を部長に報告する(30分)

 第1回ミーティングと第2回ミーティングの間には、第三者に「まとめてもらう」という依頼タスクが発生します。第1回と第2回の間は少なくとも1週間は空けた方が良さそうですね。

全てのタスクを書き出す+間にかかる時間も加味する

 さて、同じように他のぼんやりしたタスクにも、細々したタスクが隠れています。それをすべて書き出します。

社内に告知をする

  • セミナーの内容を簡単にまとめ、社内向けの告知分を作成する(30分)
  • 告知を社内に出す(15分)
  • セミナー参加人数を把握する (1週間後に30分)
  • もしすごく少ない場合は個別に声をかけてみる(30分)

セミナーの準備をする

  • 参加人数に合わせて社内セミナーのための会議室を予約する (10分)
  • セミナーに必要な機材を予約する(プロジェクターなど)(15分)
  • 配付資料があるか確認する(5分)
  • 配布資料がある場合は印刷する(30分)
  • 当日:セミナーの机と椅子の配置を変える(30分)
  • 当日:プロジェクターなど設備を設置する(30分)
  • 当日:登壇者の水を用意する(10分)

 おっと、セミナー開催の前に一度登壇者とセミナー内容の準備ができているかを確認した方が良さそうではないでしょうか? 確認のためのタスクも作成しましょう。

セミナー内容の確認

  • ミーティング時間予約(10分)
  • セミナー内容の確認のためのミーティング(1週間前・30分)
  • セミナー内容の確認のためのミーティング(前日・30分)

タスクを7週間の間に割り振る

 こうやってタスクを分解すると、案外7週間って時間ないかも……? って感じになりませんか。一つ一つはそんなに重たいタスクではありませんが、間に1週間必要なタスクなどもありますので、並べるとこんな感じになります。

部長に報告する+セミナー内容を決める 7週前〜4週前

社内に告知をする 4週間前〜3週間前(早く参加者を集計しないと広い会議室が埋まっちゃうかも!)

セミナーの準備をする 3週間前〜当日

セミナー内容の確認 だいたいセミナーの1週間くらい前から前日

 今はコロナの影響でリアルな会議室や機器は必要なく、オンラインで開催可能かもしれませんが、皆さんの予定をおさえるためには少なくとも4週間前には告知をしたいところですし、告知をするからには登壇者と簡単な内容くらいは知らせたいところですね。

タスクをRTMに落とし込む

 ここまでできたら、あと少しです。仕事のカレンダーを確認しつつ(私の場合はOutlookなどで会議の管理をしていますので、作業時間が取れそうな日を確認しながら)タスクをRTMに淡々と登録します。共通のタグを付けて登録しておくとあとですごく便利なので、ここではリストで「#work」、タグで「#seminar」とつけておきましょう。日本語でも大丈夫です。

 それぞれの期間の中で無理のない範囲で逆算しながらタスクを入れていくと、おっと、今日から依頼内容をまとめるタスクを始めないと、来週月曜までに第1回ミーティング開催するのが厳しそうな事に気がつきました! 明日にはミーティング依頼をまとめて送らないと、水曜日は祝日だし、木金はみなさんの予定が合う日がありません。サクッと今日、依頼内容のまとめを作って明日には月曜のミーティングをセットしてしまいましょう! というのもRTMに忘れずに登録します。

 先の方まで全てのタスクを登録し終えたら、あとはRTMが勝手に「そろそろこれの時期ですよ」と教えてくれます。特に人に依頼をする予定でいるときには「締切日」や「フォローアップ日」なども登録すると、相手の「忘れてた」も防げます。締切2日前に「第2回のミーティング明後日ですけど、内容大丈夫そうですか?」みたいなメールを投げておくと、万が一「あっ」って思われても間に合わせてくれる……はずですたぶん。

進捗管理のためのタスクを登録する

 思いつくタスクを全部登録したから終わり、ではありません。毎週決まった曜日に「全体の進捗が遅れていないか、忘れているタスクはないか」を確認します。こういうときのために、同一のプロジェクトには同じタグを付けておいて、タグで検索して一覧で見て確認する必要があります。

 振り返ることを忘れては意味がないため、毎週振り返りをする日を決めましょう。金曜日に進捗を確認して月曜日以降のタスクを整理してから週末に入りたいので、金曜日に登録します。

  • 社内セミナーの進捗を確認してタスクを調整する 毎週金曜日 15分

 この進捗確認では「今週終わっているはずのタスクが全て終わっているか」「もし終わっていないものがあったら何が原因か」「来週何をすれば遅れをカバー出来そうか」「想定していなかったタスクが発生してないか」などを確認し、新たなタスクが発生した場合はまた新たに追加しましょう。

実行、進捗確認、修正を繰り返す

 こうしておくと、毎日か少なくとも数日おきに、何かしらのプロジェクトに関わるタスクがRTMに発生します。あとは、それを着実に達成していくだけ。進捗確認と修正を繰り返していさえすれば、予定通りに達成できる、はずです。

 もし、修正が不可能な事態が発生したとしても、週に1度の振り返りで「このままではまずい」ということが早めに分かり、その時点で「こういう予定でしたがこういう不測の事態が起きたので、セミナーの日をずらさなくてはいけません」や「機材が予約できなかったのですが、他に借りられる部署がありますか?」など、早めに部内の人や上司に相談できますし、早めに相談を受ければ他の人も助けようがあります。

 また、自らの仕事をきちんとやれていた上で何か問題が起きても、心理的に周りに相談しやすくないですか? 自分の仕事ができていない、何か進行がまずかった、みたいなときって、自分一人で何とか軌道修正しようとしがちですが、だいたいそういうときってうまく行かないです。ギリギリまで粘った挙げ句、やっぱりダメだ、となったときには心理的ダメージも大きく、他の人からの評価も下がってしまいます。

 あとは、自分のタスクがうまくいっていなかったとしても「雲行きが怪しい……」と感じたときには早めに周りに相談しましょう。ちゃんとタスクに落とし込んで実行していたにもかかわらずうまく行かないときは、時間の見積があまいか、自分のキャパシティを越えた業務なのかもしれません。

何故、手帳やスケジュールシートやガントチャートを使わないか

 私は、手帳は曖昧な目標やゆるいタスク管理、または「この辺でこのあたりのことを考えておきたいなあ」みたいなものの管理のためにしか使いません。それらも細かいタスクに分解できるくらいまで具体的になったらRTMに管理を移行してしまいます。プロジェクトのタスクを手帳に書き始めたら手帳がそれだけで埋まりきってしまう上、プロジェクト毎に今の進捗を確認することが非常に難しいからです。

 RTMなどのTodoリストに入れずに、別のスケジュールシートやガントチャートで管理しようとすると、絶対毎日ちょくちょくは見ないです。持っているプロジェクトが1つなのであれば、手帳にスケジュールシートを挟んでおけばたまに見るかもしれませんが、プロジェクト毎にシートが分かれていたら毎日全部に目を通して現状を確認しますか? 私は見ようと思っていても絶対に見忘れます。そして「あっこれもう締切すぎてる!」ってことになりがち。(ていうかよくやってた)

 でも、RTMは毎日、タスクが終わるごとにしょっちゅう見ています。「今日」のリストに表示されているタスクがあれば、絶対に見落としたり忘れたりすることはありません。「今日」のリストに表示されていなければ「もうやった」か「まだやってないけど今日じゃなくてもいい」のです。これマジで何度でも書くけど、To doアプリは「今日やらなくてはいけないこと」しか表示しません。「昨日終わったこと」も、「明日やること」も、「今やらなくてはいけないこと」にフォーカスしている間は、考えなくて良い、ってことを教えてくれるツールなのです。

 当然、そこにはルーチンも中長期タスクを細切れにしたものもすべて表示されています。今日一日に全部終わらなさそう、終わらなかった、というときは、どれをずらせるかを考える事もできます。一週間の仕事を見渡して、もうこれ以上仕事を入れるとキツくなりそう……? みたいなことも見やすくなりますし、何やってたか分からないけど今日仕事が終わらなかった、やってもやっても残業になってしまう……ということも防げるでしょう。

 中長期のタスクは、数週間から数ヶ月、まれに年単位のマラソンです。細く長く、走り続けなくてはいけません。締切前日にダッシュをしようとしても、1000km走るのには1日では間に合わないかもしれないのです。

 というわけで、皆さんの中長期タスクがうまくいきますように。これ、仕事で例えましたけど、もちろん同人誌の進捗管理とか、おうちの法事の手配とか、結婚式の準備とか、いろんなことに応用できるので試してみてね。

 ではまた。

コメントを残す