幸福論。

先日のBSジャパン「デキビジ」で、勝間和代氏(以下勝間さん)と西村博之氏(以下ひろゆき)の対談がえらい話題になっていたので、いろいろ見てみました。対談内容はまあどこかで調べてください、っていう投げやりな感じですみません。ほんとは動画の方が分かりやすいのかもだけど、動画もことごとく削除されてたっぽいので、えーと、テキストとか探すとあると思います。

対談の内容については、まああんだけ立ち位置が違えば意見が食い違っても当然だなーという感じではありましたけれども、「勝間さんが結論ありきで時間内に議論(に見せかけた持論展開)を終息させたかった」「ひろゆきが(本人曰く)寝不足で機嫌がよくなかった」ってので、正直「小学校の学級会で学級委員長といたずらっ子が衝突し合う図」みたいになっていて、とてもテレビで放送するレベルの討論にすらなってなかったなあ。ってのが正直な感想です。

↓探すのめんどくさい人向け。↓
ちょっと周回遅れ気味だけど、勝間さんとひろゆきの対談。
 /堀江貴文オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10526599498.html

人んちのブログ記事を引用に使うなって感じで、たいそうすみませんが、ホリエモンのブログの記事が個人的にはわりと同調できたので。まあ、人の土俵に入っていって「相撲はそもそもさー」って言っても、なあ。って感じでした。村上龍さんほど勉強しようってのは無理かもしんないけど、小手先のお勉強じゃなくて、もちっと調べるなり知ってる人に聞くなりした方が、よかったかもしんないね。勝間さん。

まあ、そんな中でも幸福論についての食い違いが面白かったのでちょっと一考。

勝間さんが言っている「幸福」って、いわゆる「社会的成功」なんですよね。私もちょっと「仕事で社会とのつながりを確認したい」ってタイプの人間なので、勝間さんが言いたいことってよく分かるんだけど(そしてそれを臆面もなく大上段に構えて言えることはスゴイと思うけど)、それって万人の「幸福」じゃないよなー。と思ったり。ひろゆきの「それって幸せなの?」ってのは、とても素朴でいながらも「常に頑張ってる人の胸にぐさりと突き刺さるワード」だと思います。

起業して、夢をつかんで、お金をたくさん手に入れて、社会的に成功して、テレビに出て、で、それが自分の力で努力して勉強した証だ。っての、まあ確かにそれで幸せな人もいるんだろうなー、ってことは、理解できます。けどさー、そういう生活してても「幸せってなんだっけ?」って人も、いっぱいいるじゃんねー。ってのも思う。

女房とシエスタ。っていうコピペがあったけど、お金持ってとても幸せなはずの人が、「引退したら海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごす」事が夢になったりする。でもそれって、生活レベルがそれほど高くない田舎町の漁師と同じ生活だったりする。漁師は「自分の生活は幸せだ」って言って、その生活を夢見る人は「自分の生活はまだまだだ」って思ってがむしゃらに働いてたりする。

人間の生活って勝ち負けじゃなくて、要は何が欲しいか、じゃん。ってずっと思ってたけど、勝間さん的人々の代表っていうか、なんかこう、バブル期っぽい考え方っていうか、そういう人たちって「社会的に認められなくては成功ではない」みたいな言い方をする。それも間違いではないけれど、なんかすごく疲れる生き方だなーと思って、私はあんまりしたくないなーと感じてる。一時期すっごく流行ったけどさ。バリキャリ(死語)みたいな感じで。

頑張れ。負けるな。勉強しろ。

子供の頃から飽きるほど聞かされてきたけど、それで幸せになるかなんてなんの保証もないのになー、って、ぼんやり聞き流してた。(すんません)あんまり「自分以外の誰かに負けない」気持ちを持たなかったことで後悔したことはない。競走することの意義もよく分からない。人を押しのけて自分が一番を手に入れる喜びよりも、ばつの悪さと、目立つと叩かれる事に対する怖さの方が強い。

だから競走嫌いで、ただあとから後悔することだけはしないように生きてきた(後悔したこともあるけど)。んで、今わりと幸せ。だからいいやーって思ってる。ひろゆきは社会的に無責任だ!って人もいるけどさ、私も社会全体の責任なんて取れないよ。税金ちゃんと払ってるんだし、公共のサービスを受けて、フツーに生きてくからそんな大層な覚悟してなくても許してよ。って思う。

幸せってなんだっけ?

水道ひねれば水が出て、トイレを流せばいつの間にか水がきれいになって、ゴミはまとめて出せばちゃんと燃やされて、心配することなく夜道が歩けて、夜中まで電車が(だいたい)定時運行してて、テロも金銭目的の誘拐もわりあい他人事で、紛れ込んだ野生動物が夕方のトップニュースになったりしてて、今度の夏は何をベランダで育てようか、睡蓮は今年も咲くだろうか、って事が目下の心配事。あとはマラソンの距離を伸ばしていくこととか、夕飯のおかずはなんだろなーって思ったりとか、春が来て、夏が来て、秋が来て、また冬が来ることを考えてる。

これって、幸せな国に生きてると思う。んだけど。

勝間さんは誰に負けたくなくて、何に勝ちたいんだろうなー。とかボンヤリ考えた。私は自分を競走に追い込んで、誰かに負けてるからダメだとか、誰かより優れてないからダメだとか、そんな風に自分を不幸だと思いこむことはまっぴらゴメンだし、このままぬるぬる楽しく生きていく方が断然幸せ。好きなことやって、命の危険なく生きていけるなんて、これ以上の幸福あんの?

ってことを書くと、「最近の若者は…」っていわれるんだろうけど、「最近の○○は」って言葉は吉田兼好の徒然草ですら言われてる言葉なので、もう人間だったら誰でも言う言葉なんだということでキニシナイ。勝間さんは、その「若者のなんとか離れ」を社会のせいにしたいみたいだけど、たぶん「社会のせいで○○できない」って思ってる人はごく一部で、あんまり起業とか考えてない人の方が多いと思う。金かかるし大変だしそんなことしなくても生きていくだけならそんなに大変でもない。

たぶん、もちろん自分の状況に満足できてなくて不幸な人もたくさんいるだろう。でもそういう人たちはそもそも起業とかの土台でなく、生活の心配レベルの幸福感のなさなので、若者が起業できない社会が悪いとか言うのは論点が違う。勉強して努力したってそこまではい上がれない人たちに「日本の今の社会が閉塞感を持っているから起業する風土が育たなくてうんたら」とか論じたってそれこそ「ポカーン」だ。

だいたい、日本人は両手を広げて「私は幸せです!」なんて言える国民ではないんじゃないかな。まわりに「幸せ?」って聞いてみればいい。10人中6人は「…まあまあ?」とか「そんなにw」っていうと思う。2人は「幸せ!」って言うかもしんない。残りの2人はそんなことを考えたくもないレベルで不幸かもしれない。旦那と超仲良しでラブラブで姑とも親子のように仲良しでも、隣の奥さんとは旦那や姑の悪口を言い合うような国民性なのに、アナタは幸せですか調査なんて、なんの意味があるんだろう。

まとめると、勝間さんはうちらの親世代に近いくらいの価値観、ひろゆきはうちらくらいの価値観ってことで、親子の食い違いを見ているようで面白かったです。ってことでヒトツ。

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4件のコメントがあります

  1. Pompon

    んー…本当に、勝間はんは誰と戦ってるんでしょーね。
    煽って焦らせて自分にお金おとさせよーとしてるのかなって
    かんぐっちゃうよ★

  2. Redina

    まあ、下を叩くことって、ある意味精神安定剤的な効果がありますし、
    多少は言わせておけばいいんじゃね?とか個人的には思っちゃったりします。

    >若者のなんとか離れ

    これはあの「良い子の諸君!──」ってAAが秀逸で吹きました。
    「若者は初めから近づいていない」というあれがw

  3. なつこ

    対談、笑いを堪えつつ読みましたよ。
    勝間さんと香山さんの対談より噛み合ってなくて
    ほんと面白かったです。

    勝間さん、対談じゃなく単に自分の講演会したいだけなのかなーと。
    勝間さんの言う幸福って分からなくもないけど、
    それが全てって思われてるのは宗教じみてますよね。

  4. Tinana

    >Pomponちゃん
    いやー、自分のやってきたことが正しい、って証明したいのかなー。とか
    思ったりした。彼女の理論だと、働いてない人はみんな幸せじゃない、って
    ことになっちゃうのに気づいてないのかなー?とかも思った。
    でも女性に人気あるんだよねえ。不思議だなあ。

    >Redinaさん
    彼女があの番組で得たモノって、マイナスイメージしかないように思えて
    いったいどうしたかったのかが見えなかったですねえ。
    あんまりホスト向きじゃないですよね。朝まで生討論系だと頑張れそうだけど。
    良い子の諸君!は確かに思いましたw
    ブランド離れって、ブランド好きな子の方がすくねえよ。って思ってたしw

    >なつこさん
    香山さんは大人でのらりくらりとやんわり誘導してくれたから保ってましたね(笑。
    対談に呼ばれる方ならいいのかもしれませんが、ホスト役は下手だなあ、って
    思いました。自己主張が激しいと、ちょっと難しいですね。
    勝間さんの言う「幸福」は、万人にとっての幸福ではない、ってのを、
    勝間さん本人は分かってるんだと思うんですが、どうしても著書とかの関係で
    そうまでは言い切れないのかもしれませんねえ。

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