偏ったジェンダー論。

 先日、NHKの「視点・論点」を見ていたら、阪大の女性教授が新しい家族像について語っておりました。最初はぼんやり見ていたのですが、よくよく聞いてみると一部是認したい部分もあり、それは認識違いだと思う部分もあり…。つうわけで、あまり振りかざしてジェンダー論を述べるつもりもないですが、どこが違うと思ったかだけ。

 こちらが全文。
 視点・論点 「生きる基盤の充実と新たな家族像」 |URL|

 ここで言われているのは「子なり老人なり病人なりのケアされるべき人とケアする人(これは女性や母親に限らない)を1単位とし、その単位に対し福祉や金銭的補助を与えるべき」というファインマンの理論と、それに付随する「女性は2次的依存(ケアを目的として家庭にはいるためにやむを得ず依存状態に陥るコト)の状態であるがために、夫のケアまでもを行わなければならない」という、牟田教授の推論、ですかね。

 働いてみて思ったんですけど、「仕事が大好きで、経済的に自立していたい」と考える女性って、意外に少数派、ですよ。私は自分で稼いでいくのが普通だと思っていたし、別に旦那に養ってもらいたくもないし、元彼と別れた決定的な理由は「子供の手が離れるまでは女性は家にいるべきだ」と言われたことですが(実は)、社会に出てみて「それは少数派だ」ということを思い知らされました。働き始めた頃こそ、女子全員が「定年まで働きたい」なんて言ってても、社会人5年目の27歳あたりから半数くらいの女性は「このまま働いてどうなるんだろう?」と考えるようになり、30あたりから「結婚して子供でも産んで専業主婦になりたい」派が席巻してきてます。もちろん、少数だけれども「働いてるの好きだから」で働き続ける子もいるし、子が育つまでと割り切って専業主婦になる子もいるです。

 でもこれって、男性が口にした場合に受け入れる女性ってどれくらいいるんでしょうか。女性の権利や不利益の払拭は声高に言いながら、男性の不利益については当たり前、というのであれば男女平等とは全く言い難い、と思います。つうかね、男性が仕事を失い、なおかつ妻を亡くした場合のリスクが高すぎるというのはやっぱり不公平。男性にとって「働かずに主夫になる」選択肢は、世間になかなか理解されないこともさることながら、法整備も未熟です。牟田教授はそのあたりには触れず、現在の家父長制度色が強い社会は男性が作ってきたものだ、と論じていますが、女子を守るために男性の不利益部分を妥当として作ってきた社会でもあると思うのです。(まあ自己満足だと笑っちゃう部分もありますけどね)

 たとえば、寡婦(母子家庭)には税金の控除や遺族年金があるにもかかわらず、男性が寡夫となった場合の規定はありません。また、児童扶養手当も出ません。これって、男性にとっては不利だなー、と思います。だって育児休暇を取得したあげくに閑職に異動になり、果ては職を失ったとしても法的な保護ってないんすよ。でもそこをつつくフェミニストって全然いなくって、女性の働く環境を整備しながらも男性にはこれまで通りの稼ぎを要求し、なおかつ家事にも参画して欲しい…ってのは、えーと、私は不公平だと思います。まあ、稼いでることを盾に、妻に対してでかい態度を取るって言うのは、人間的にどうよとは思いますけれども、そもそもの土台として平等じゃあないよね。たぶん。

 男性にしろ、女性にしろ、経済的な柱となるにはそれなりのプレッシャーもストレスもあるでしょう。それを「男性が担うのは当たり前だ」としておいたうえで論じられるジェンダー論については、私は首をかしげます。家庭に属する人々が愛情を持って家庭に臨むというのは家庭人としての基本的な姿勢だとは思いますが、男性が職を捨てる選択肢が法的にも不利なまま「女性は長年ケアする立場を余儀なくされた」という議論については、異を唱えざるを得ません。男だって主夫になって妻や子供を支えたい人は、結構いると思うです。でもリスク考えて選ばない人もいるし、これまで「女性は家にはいるのが当たり前だ」と思うのと同じように「男性は働いて当たり前だ」という空気があったと、私は思うのだけれどなあ。

 まあ、どれくらい平等でいればいいのか、ということを論じていくジェンダー論はいつか破綻する、というファインマンの主張と、結局は「新しい家族像」が幸せでいられるかというところがキモってトコだけは、是認。というわけで(笑。端から見て「不公平だなあ」と思ったとしたって、本人達が幸せであるのならば別にいいってコトですよね。つまりはね。

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7件のコメントがあります

  1. Redina

    ?端から見て「不公平だなあ」と思ったとしたって、本人達が幸せであるのならば別にいいってコト?には同意したいですね〜。
    人によって理想は違うわけですし。
    ある程度の?モデルケース?は必要かもしれませんが、誰もをそこに当てはめる必要はないでしょうね。
    平等を生もうとしたところに、同時に不平等も生まれてしまうのは、その考え方のどこかに無理がある証拠だと思います。
    コメントとして合ってるのかどうかよく分りませんが(笑)

  2. あるく

    男が作り上げた社会だから
    女性が家庭に入るとして見れば円滑に機能するも
    視点を変え主夫として観れば不完全な構造だとは思う
    おれは長く古い考え方の中で生きて来たし男だからか
    別にそんな物だと思っているし違和感も無く
    深く考えてもいないのだが…(苦笑
    家庭に入る事を是とする女性には居心地悪くないかなと
    髪結いの亭主と言われる様に……
    昔から無かった訳じゃないのだが例外扱いだよね

  3. こぶひろ

    なるほどなぁ・・・・
    うちも東京に転勤するまで同じ会社の共働きだったんですが、転勤した時産休を転勤すぐで取るのを嫌ってかみさんは転勤せずに退職して現在に至ってます。
    仕事も家庭も生き方も、年を経ると共にその考え方も少しずつ変わってきましたし、それを受け止めていく事も経験のひとつだと思っています。
    やはり、平等の条件がその人の経験値によって語られている気がします。
    「主夫」の選択肢はこの教授さんは自分で考えつけないんでしょうね。
    一度、仕事が忙しすぎてかみさんとつまらない事で口論した時、
    「そんな言うなら、俺が主夫する。」と口走った事がありました。
    で冷静になってから、嫁さんと
    「ありえへんなぁ・・・」という結論になりました。
    うちの元々の選択肢に無かったし、受け入れにくい事でしたからね。
    結局、うちもそうだけど、家族が一番いいとそれぞれで納得しちゃっている「しあわせの形」がいまの姿になっていて、それが居心地がよければいいのかなぁ、と思いますね。
    それが新しい時代のものさしに合わない事も出てくるでしょうけど・・・・

  4. Tinana

    >Redinaさま
    あ、コメントとしてはもちろんあってますよ(笑。
    そうそう、人によって理想の形ってのは違うわけで、「きっとこのようにすれば
    人は幸せな家庭を築けるに違いない」と学者がモデルケースを提唱したところで
    本人達がそれで幸せになるかっていうと…違うわけですよ。
    不幸せになる理由ってのは、まあいろいろあるんでしょうけれども、
    理由のヒトツに女性が家庭に入ったからであるってのは、違うんじゃないかなーと。
    ま、誰もが納得する平等、なんてのがあれば、戦争なんて起きませんね(笑。
    だからこそ面白い、とも言えますけどね。
    >あるくさま
    なんていうか、まあジェンダー論とかフェミニストの穴というか…(笑。
    これまで通りでうまくいく人はうまくいっていて、それなりに日本人にあった
    家族像ってのが形成されてきていたと思うんですよー。
    農業やってたころの人にとっては、女性が家にこもって家事、なんて
    ありえなかったわけですが、それはそれでうまいことやってたわけだし。
    確かに「世間一般」の常識に押し込められて被害にあった女性もいたんでしょうが
    1を取ってすべてがそうである、とは言えないよなーと。
    まあ、うちは私が大黒柱係なので、要は相方との話し合いによってでないと
    家族のあり方とか、どんな風になったら幸せかなんて、セオリー通りには
    いかないって見本ですね(笑。

  5. Tinana

    >こぶひろさま
    なるほどー。
    人の考え方って、変わっていって当然だと思うんですよ。
    何を大事にするかとか、何を重要とするかとか、まあそのへんが
    変わっていったとして、突然「話が違う!」とか爆発するんではなく、
    お互いにどうしていくことが幸せなのか、というのをちゃんと話し合えることが
    理想の家族像としては一番理想なのかなーと思ったりします。
    仕事を抱えてなおかつ家庭もあって、といった場合、日本男性はどうも
    「一生懸命仕事をすることが家族を大事にすることだ」と信じて疑わない
    ところから、少しずつ亀裂が入っていったり溝が深まったりするようです。
    実は女性は「ごはん美味しい」とか「いつもありがと」ってことばだけで
    頑張れちゃったりするんですけど、日本男性ってシャイですしね(笑。
    そこでなにも「じゃあ主婦業をとりかえよう」って極論に走らなくても、
    お互いの得意な分野を、得意な人に割り当ててるだけなんだから、
    お互いが労われるべきなんでしょうねえ。
    まあ、そういうわけでこぶひろさんには何が言いたいかというと(あれ?)
    お子様が将来「二人で話しあってこうしたい」といった場合には、
    あまり反対しないであげてください(矛先が変な方向に(笑))

  6. こぶひろ

    余裕がなくって皆さんの日記のコメント見返せてなかったです。m(_ _)m
    いや〜〜、一本とられてたなぁ・・・・(^^ゞ
    気にしておきます。(笑)
    その時にならないと自信ないけど・・・・(苦笑)
    ちなみにうちでは夫婦の考え方が変わってきて、そのズレが大きくなってくると、口論が発生します。まるで地震の様に。(笑)
    で、どちらかの考え方を軸にして夫婦としての考え方を修正しています。
    これが結構大変なんだよな・・・
    Tinanaさんのとこは、その辺りはうまくいきそうなイメージがありますが・・・・
    (なんて、勝手に決めてますが)
    ちなみにTinanaさんのブログだからコメントしますが、うちの出勤前の行事で全員のほっぺにチュウやったりしてます。
    一般的にはシャイで気持ちを言葉にできないのがジェンダー論をわかりにくくさせてる気がしてきました。

  7. Tinana

    >こぶひろさま
    まあ、あれです。
    私も「なぜ自分の話をきちんと聞かずに自分たちの経験を押しつけるのか?」と
    反発しましたが、実際に自分が娘の親の立場だったら、自分の経験を元に意見するに決まってます(笑。
    要は、経験してないことを理解するって難しいんですよね。
    他人ならまだ「みとく」ができるんですが、肉親だとなおさら老婆心ながら放っておけないというか。
    なので、まあ、「なるべく、本人達に任せてみる」ってのがいいのか…なー?(疑問)
    話し合えなくなって、諦めるようになると、夫婦や家族を続けていくのは難しいかな、と思います。
    親と子はそうはいっても血が繋がってるので縁が切れにくいですが、
    夫婦は元は他人ですからねえ。
    やっぱり、修正する意思と努力が必要不可欠かな、と。
    出勤前のチュー、ステキですね!
    たとえば口論して不機嫌でも、儀式のようにやることによって、少し和んだりしそう。
    日本ではボディタッチの習慣が薄いので、一度喧嘩すると仲直りしにくいのも要因なのかも。
    うちは、まだ新米なのでうまくやれてるだけかもしれません(笑。
    お互いの思いやり、ってのは、一応大事にしていきたいと思います。忘れないように努力します(笑。

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